メタバースのビジネス活用

メタバースの発展にともない、新たなビジネスモデルも生まれつつある。このカテゴリーではビジネス活用の好例や、ビジネスコミュニケーションの動向を紹介する。

メタバースビジネスが進んでいる背景

企業間でメタバース活用が広がった背景には、NFT(非代替性トークン)とメタバースの親和性の高さがある。かつてデジタルデータは容易に複製できたため価値が生じにくかった。しかしNFTならブロックチェーンによってデータ改竄が難しくなり、オリジナリティを価値化できる。

そんなNFTがメタバースに導入された結果、デジタルの土地や所持品、資産の所有・取引が広範化し、企業参入も加速した。

またIT技術の発達やヘッドマウントディスプレイ・VRゴーグルの開発促進、コロナ禍以降のオンライン需要増もメタバースビジネスの多様化を推し進めた。

メタバースのビジネス活用方法

メタバース活用は、社内的・社外的の2つに大別できる。社内的にはオフィスや会議、セミナーなどにメタバースを利用可能だ。コロナ禍に普及したリモートワークには、直にコミュニケーションできないデメリットがあった。

だがメタバースのオフィスなら3D空間でアバターを通して会話し、出退勤の労力や時間、費用も削減できる。従来のオンライン会議ツールやウェビナーの難点だった参加者同士のやり取りも、より活発に行えるだろう。

社外的には商品の発表会・展示会、ショップ、イベントにメタバースを活用できる。来場や来店、設営のコストを削減できるだけでなく、現実では為し得ない演出を仮想空間で実現できる。3Dグラフィックを活かし、商品やサービスをアピールできるのだ。音楽イベントでも、メタバース演出が取り入れられている。

メタバースビジネスの課題

メタバースビジネスには課題もある。メタバースで開催された商品発表会では、アバター同士が重なってスクリーンを見る妨げになったり、展示物を撮影できなかったりした。こうした技術面の問題は、メタバースの発達やアップデートで改善されていくだろう。

一方の不安要素は、社会分断の促進だ。メタバースビジネスに上手く参入できない企業は淘汰されかねないし、旧来サービスを受容する消費者とりわけオンラインに不慣れな高齢者も取り残されるかもしれない。

メタバースビジネスを追求するのであれば、こうした負の可能性も見据える必要がある。メタバースには、地理制限や肉体条件に悩む人、対面に困難を感じる人が快適にサービスを利用できる長所がある。そこに主眼を置き、リアルビジネスとも併用しつつメタバースを活用してほしい。

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