「AI使用は申告を義務化」AmazonがKindle出版ガイドラインを更新

AIを使用した出版物が増加する今、出版業界にも対応が求められている。米Amazonは9月7日、Kindleダイレクト・バブリッシングのコンテンツガイドラインを更新。生成系AIの使用に関する条項を追加した。

NEW YORK (AP) — After months of complaints from the Authors Guild and other groups, Amazon.com has started requiring writers who want to sell books through its e-book program to tell the company in advance that their work includes artificial intelligence material.

引用元:Amazon to require some authors to disclose the use of AI material | AP News

KDPのガイドラインに新たに追加された条項とは

電子書籍出版サービスの「Kindleダイレクト・バブリッシング(KDP)」は、Amazon Kindleで電子書籍を出版し、販売するためのサービスだ。新たに追加されたガイドラインでは、出版するコンテンツについて生成AIを使用して作成した場合、申告を義務付ける旨が記されている。このガイドラインに従わないコンテンツは、直ちに削除されるとのことだ。

日本語版のコンテンツガイドラインには、以下のように記述されている。

  • AI 生成: AI 生成コンテンツとは、 AI ベースのツールによって作成されるテキスト、画像、または翻訳として定義されます。AI ベースのツールを使用して実際のコンテンツ (テキスト、画像、または翻訳) を作成した場合、後で大幅な編集を行ったとしても、そのコンテンツは「AI 生成」と見なされます。
  • AI アシスト: コンテンツをご自身で作成し、そのコンテンツ (テキストまたは画像) を AI ベースのツールを使用して編集、改良、エラーチェックした場合、またはその他の方法で改善した場合、そのコンテンツは「AI アシスト」と見なされ、「AI 生成」とは見なされません。 同様に、AI ベースのツールを使用してアイデアを引き出し、最終的にはご自身でテキストや画像を作成した場合、そのコンテンツは「AI アシスト」と見なされ、「AI 生成」とは見なされません。そのようなツールの使用やプロセスをお知らせいただく必要はありません。
引用元:コンテンツ ガイドライン

上記のように「AI生成」と「AIアシスト」を明確に区別している。編集や改良、エラーチェックにAIを使用した場合、またはストーリーなどのアイディアを出すためにAIを使用した場合については、対象外となる。

波紋が広がるAmazonのガイドライン更新、一体なぜ?

上記のような条項が追加された背景には、全米作家協会(Authors Guild)の強い要望が関係している。同協会は2023年7月に、AIトレーニングに作家の著作を無断で使わないようにとの書簡を公開。この書簡には『ハンガー・ゲーム』の作者として知られるスーザン・コリンズ氏や『ダ・ヴィンチ・コード』のダン・ブラウン氏など、多くの作家が署名。生成AI使用の透明性確保を求める意見が、さまざまな作家、執筆家から上がっていた。

ガイドラインの掲載について同協会「私たちの懸念を考慮し、AI生成コンテンツの透明性と説明責任を確保するための重要な一歩を踏み出してくれた」と感謝の意を表明しつつ、引き続き生成AI使用の透明性促進に取り組むとのことだ。

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