「ChatGPTを業務で使いたいけれど、入力した機密情報がAIの学習に使われるのが怖い」「社員がうっかり顧客情報を入力して情報漏洩したらどうしよう……」と、セキュリティ面で二の足を踏んでいませんか?
革新的な利便性を持つChatGPTですが、デフォルト設定のままでは入力データがOpenAI社の学習モデルに再利用されるリスクがあります。しかし、適切な「設定」と「オプトアウト申請」さえ行えば、企業でも安全に活用することが可能です。
この記事では、ChatGPTからの情報漏洩を防ぐための具体的な設定手順、学習を拒否するオプトアウトの申請方法、そして法人として導入すべき安全なプランの選び方を、2026年最新のセキュリティ情報を交えて徹底解説します。この記事を読めば、セキュリティリスクを最小限に抑え、安心してAIをビジネスに導入できるようになります。
1. ChatGPTによる情報漏洩リスクとは?企業が知るべき盲点
ChatGPTを企業で利用する際、最も警戒すべきは「入力したデータの再利用」です。まずは、どのような仕組みでリスクが発生するのかを整理しましょう。
1-1. 入力データがAIの「学習」に使われる仕組み
通常、無料版や個人向けの有料版(ChatGPT Plus)では、ユーザーが入力したプロンプトやアップロードしたファイルの内容は、AIモデルの精度向上のために利用される設定になっています。
- リスク例: 自社の新製品企画書を要約させた際、その内容が学習され、他社のユーザーが似たような質問をした際に回答として出力されてしまう。
1-2. 過去のチャット履歴からの流出
チャット履歴がアカウント内に残っていると、万が一アカウントが乗っ取られたり、共有PCでログアウトを忘れたりした場合に、過去の機密情報が第三者の目に触れるリスクがあります。
1-3. 従業員のリテラシーによる「シャドーAI」
会社が正式に認めていない「個人アカウント」を業務で勝手に使ってしまう「シャドーAI」の問題です。会社側で管理できないアカウントで機密情報が扱われると、制御不能な情報漏洩に繋がります。
2. 【即実践】チャット履歴を残さない・学習させない設定手順
最も手軽かつ即効性のある対策は、ブラウザやアプリの設定画面から「履歴と学習」をオフにすることです。
2-1. Web版での設定方法(PC)
- 画面左下のユーザーアイコンをクリックし、「Settings(設定)」を開く。
- 左メニューの「Data controls(データコントロール)」を選択。
- 「Improve the model for everyone(すべての人のためにモデルを改善する)」(旧:Chat History & Training)のスイッチをオフにする。
2-2. スマホアプリ版での設定方法(iOS/Android)
- サイドメニューから「設定(歯車アイコン)」をタップ。
- 「Data Controls」をタップ。
- 「Improve the model for everyone」をオフにする。
【重要】一時チャット(Temporary Chat)の活用
2024年以降、履歴を残さず、学習もされない「一時チャットモード」が登場しました。設定変更が面倒な場合は、チャット開始時にこのモードを選択するだけでも高い安全性を確保できます。
3. 確実に学習を拒否する「オプトアウト申請」のやり方
設定画面でのオフは「履歴も消えてしまう」というデメリットがあります。「履歴は残したいが、学習だけは拒否したい」という場合に必須なのが、OpenAIのプライバシーポータルからのオプトアウト申請です。
3-1. オプトアウト申請の2つのルート
| 方法 | 特徴 | おすすめの方 |
| 設定画面からオフ | 即座に反映されるが、履歴も残らなくなる。 | すぐに対策したい個人・小規模利用 |
| プライバシーポータル申請 | 履歴を残したまま、学習だけを拒否できる。 | 業務効率と安全を両立したい企業利用 |
3-2. プライバシーポータルからの申請手順
- OpenAI Privacy Portalにアクセス。
- 「Make a Privacy Request」をクリック。
- 「Do not train on my content(コンテンツを学習に使用しない)」を選択。
- 指示に従いメールアドレスの認証を行い、申請を完了させる。
※申請が受理されるまで数日かかる場合があるため、完了通知が来るまでは機密情報の入力に注意しましょう。
4. 企業が導入すべき「安全なプラン」の比較
個人アカウントでの設定には限界があります。企業として組織的に情報を守るなら、最初から「学習されない設定」がデフォルトになっている法人向けプランの導入が不可欠です。
4-1. プラン別セキュリティ比較表
| 項目 | 個人版(Free/Plus) | ChatGPT Team | ChatGPT Enterprise | API利用 |
| データ学習 | デフォルトあり | なし(原則) | なし(厳格) | なし |
| 管理機能 | なし | あり | 高度な管理機能 | 自社開発 |
| セキュリティ規格 | 一般的 | SOC 2準拠 | SOC 2 / ISO 27001 | 開発環境に依存 |
| 適した規模 | 個人 | 数人〜数十人 | 中堅〜大企業 | システム組み込み |
4-2. なぜ「ChatGPT Team/Enterprise」が安全なのか
これらの法人向けプランでは、入力されたデータがモデルの学習に使われないことが規約で明記されています。 また、管理者画面から全ユーザーのログイン状況を監視したり、特定の機能を制限したりできるため、組織的な情報ガバナンスが効きやすくなります。
4-3. 最も安全な「API利用」と「Azure OpenAI Service」
さらに高いセキュリティを求める場合、OpenAIのAPIを直接利用するか、Microsoftが提供する「Azure OpenAI Service」を利用する方法があります。特にAzure版は、Microsoftの強固なクラウドセキュリティ基盤の上で動作し、データがインターネットに流出するリスクを物理的に遮断(閉域網接続)できるため、金融機関や官公庁でも採用されています。
5. 情報漏洩を防ぐための社内運用ガイドライン例
設定などのシステム対策だけでなく、人間側の「ルール作り」が最後の砦となります。
5-1. 入力禁止情報の明確化
以下の情報は、設定の有無に関わらず「入力禁止」と定めるのが鉄則です。
- 顧客の個人情報(氏名、メールアドレス、住所、電話番号)
- 未発表の機密情報(新製品の仕様、未公開の提携話)
- ID・パスワードなどの認証情報
- 自社独自のソースコード(脆弱性を探られるリスク)
5-2. プロンプトの「匿名化」テクニック
どうしても具体的な事例で相談したい場合は、情報を抽象化します。
- ×悪い例: 「株式会社Aの田中様に送る、予算300万円の商談メールを作って」
- ◯良い例: 「B業界のクライアントに対し、数百万円規模の提案を行う際の丁寧なメール案を作って」
5-3. 定期的なセキュリティ教育
2026年現在、AIの進化は非常に速く、新しい機能が次々と追加されます。半年に一度は最新のプライバシーポリシーを確認し、従業員へ周知する場を設けましょう。
6. まとめ:正しい設定と運用で「攻めのAI活用」を
ChatGPTの情報漏洩リスクは、正しい知識と設定によって十分にコントロール可能です。
- 個人利用なら: 「Data controls」から学習オフ、または一時チャットを活用。
- 履歴を残したいなら: 「オプトアウト申請」を忘れずに行う。
- 組織で使うなら: 「ChatGPT Team」以上の法人プランへ移行する。
- 最重要ルール: そもそも「本当の機密情報」は入力しない。
これらを徹底することで、情報漏洩の不安をゼロに近づけ、AIによる圧倒的な生産性向上を享受できるようになります。まずは今日、自分のアカウントの設定画面を開くことから始めましょう。
FAQ:よくある質問
Q1. 履歴をオフにした後に、過去の会話を復活させることはできますか?
設定を再度オンにすれば、オフにする前に保存されていた履歴は再び表示されます。ただし、オフの間に交わした会話は保存されず、復活させることもできません。
Q2. オプトアウト申請をしたら、回答の精度が落ちることはありますか?
いいえ、そのユーザー自身の回答精度に直接影響することはありません。あくまで「OpenAI全体の将来的なモデル改善」に使われなくなるだけです。
Q3. 会社で「個人用無料アカウント」を使うのはやはり危険ですか?
はい、非常に危険です。管理者が利用状況を把握できず、万が一漏洩が発覚しても追跡が困難です。法人プランの導入を強く推奨します。
Q4. ChatGPT APIで入力したデータは学習されますか?
いいえ、API経由で入力されたデータは、デフォルトでモデルの学習には使用されません。これはOpenAIの規約で明記されています。
